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高柳 智弘*; 池畑 隆*; 真瀬 寛*; 大場 弘則; 柴田 猛順
JAERI-Research 2005-024, 14 Pages, 2005/09
電子ビーム加熱蒸発時に発生する弱電離ガドリニウムプラズマ流を、鉄芯間の01.5kGの磁場に導き、プラズマの磁場中での挙動を調べた。磁場を強くしていくとプラズマは乱れが生じるとともに磁場を横切って流れる量が減少し、やがて検出されなくなった。プラズマが流れなくなる磁場の強さはプラズマ密度に依存せず、プラズマ流が磁場中を横切ることができるのはイオンのラーモア半径がプラズマ幅の2倍程度より大きいときであることがわかった。また、電子ビーム蒸発生成プラズマはその密度によらず一定強度の磁場を横切っては進めないことがわかったので、原子ビーム中のプラズマ除去はこれまでの除去電極への負電圧印加だけでなく、磁場によってもできると考えられる。
大場 弘則; 小倉 浩一; 西村 昭彦; 田村 浩司; 柴田 猛順
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 39(9A), p.5347 - 5351, 2000/09
被引用回数:5 パーセンタイル:27.48(Physics, Applied)電子ビーム加熱で生成したウラン電子ビームの速度をレーザードップラー法で測定した。原子ビームの生成には、磁場偏向型電子銃あるいは斜入射直進型電子銃を用い、加熱方式の違いによる原子ビーム速度への影響を比較した。磁場偏向型電子銃で生成した原子ビームは、斜入射直進型電子銃加熱で生成したそれよりも200m/sも加速されることがわかった。これは蒸発部近傍での入射電子ビームエネルギーが蒸発原子の励起やイオン化により損失し、イオン化のエネルギーが原子間衝突時にビームの並進エネルギーに転換されるとして説明できた。
大場 弘則; 西村 昭彦; 小倉 浩一; 柴田 猛順
JAERI-Research 2000-033, 17 Pages, 2000/08
原子法レーザーウラン濃縮では、電子ビーム加熱で生成したウラン原子にレーザー光を照射し、Uのみをイオン化して回収する。電子ビーム加熱でウランを蒸発させると熱励起や電子ビームによる励起で蒸発原子が上準位に多く分布する可能性があり、準位分布はレーザー分離の対象となる原子密度を知るうえで重要である。ここではレーザー誘起蛍光法でウラン原子の準安定準位密度を測定した。準位密度分布から求めた原子励起温度は推定蒸発面温度(~3000K)より低く、蒸発量を増加させるとともに2000K程度まで低下し、蒸発した原子のほとんどが基底準位及び下準位に分布することがわかった。
大場 弘則; 西村 昭彦; 小倉 浩一; 柴田 猛順
JAERI-Research 2000-030, 17 Pages, 2000/08
電子ビーム加熱で生成した原子ビーム中には、蒸発部で発生したプラズマが含まれている。原子法レーザーウラン濃縮では、このプラズマを取除く必要があり、そのためにプラズマの特性を知ることが重要である。本研究では、ウランプラズマの電子温度及びイオンの割合を静電プローブで測定した。電子温度は0.13eVで蒸発面温度に比べ低い値であった。原子ビーム中イオン量の割合は最大で3%以上であった。電子ビーム入力を一定に保ちながら電子ビームの加速電圧を低くした時、加熱用電子ビーム電流が増大し、電子によるウランの電離断面積も大きくなるため、原子ビーム中のイオン量の割合が増加した。このことは、蒸発部生成プラズマは蒸発ウラン原子と加熱用電子ビームとの衝突電離で発生することを示している。
柴田 猛順; 小倉 浩一
JAERI-Tech 99-001, 11 Pages, 1999/01
電子ビーム加熱蒸発で生成したウラン原子ビーム組成を質量分析計を用いて行った。不純物としてUOのみが検出され、その量はウラン原子ビームの1%以下であった。U(M=476)のピークは検出されず、原子ビーム中にU分子やウランクラスターが原子ビーム中に混在していないことがわかった。またタングステンも検出されず、液体ウラン内に対流熱伝導抑制のために入れたタングステンが、ウランとともに蒸発することは非常に少ないことがわかった。これは蒸着ウランの化学分析で、タングステンが検出限界以下であることと一致した。
大場 弘則; 柴田 猛順
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 38(7A), p.4258 - 4259, 1999/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)水冷銅るつぼを用いた電子ビーム蒸発では、熱損失が大きく蒸発の熱効率が低いこと、液体金属対流による不安定現象で原子ビームが変動することが知られている。安定な原子ビームを生成させるため、多孔質タングステン製円柱をるつぼ内に置いてハースライナーと組合せて蒸発を試みた。ガドリニウムまたはセリウムを多孔質体に含浸させて蒸発させた。多孔質体を用いると、加熱面形状が変化しないので蒸発面が一定である。また、液体金属は毛管現象によって加熱面に吸い上げられるだけなので対流の影響がほとんどない。これらのことから、少ない投入電力で多くの原子ビームが生成できるだけでなく、安定な原子ビームが生成できた。また、多孔質体材料に汚染されないことも確認した。
田村 浩司; 岡崎 哲治; 足立 肇; 柴田 猛順; 大場 弘則
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 37(12A), p.6651 - 6654, 1998/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0(Physics, Applied)表面電離を用いた小型原子ビーム検出器を試作した。その特性をさまざまな希土類元素(Ce,Nd,Sm,Dy,Yb)を用いて調べた。いずれの元素においても原子ビーム量とイオン電流量に比例領域があり、本検出器によりこれら希土類原子ビーム量測定が可能であることがわかった。Nd,Sm,Dy,Ybでは蒸着速度100~200以上のビーム量まで評価可能であった。Ceについては蒸着速度が30を越えるとイオン電流に飽和傾向が見られた。これはCeの蒸気圧が低いため、Ce原子がフィラメントから十分速く離脱せず、Ce原子のフィラメントへの被覆によるものと考えられる。このことから、計測できる原子ビーム量は、原子のフィラメントへの被覆により制限されることがわかった。
岡崎 哲治; 田村 浩司; 足立 肇; 大場 弘則; 雨川 和博*; 柴田 猛順
JAERI-Tech 98-020, 17 Pages, 1998/06
希土類金属(セリウム、ガドリニウム、ディプロシウム、サマリウム、イッテルビウム)を電子ビーム加熱により蒸発させ、その原子ビーム速度を真空天秤を用いて測定した。蒸発源から382mm上方に設置した天秤蒸着板への蒸発原子蒸着による運動量変化に伴う重量変化から蒸着速度と原子ビーム速度を算出した。セリウム、ガドリニウムの速度は、蒸発量増加に伴い1000~1100m/sまで加速されるが、ディスプロシウム、サマリウム、イッテルビウムの昇華性金属の速度は蒸発量にあまり依存せず、450~650m/sとほぼ一定で熱平衡速度に近い値であった。昇華性金属を電子ビーム加熱した場合は、広い領域から蒸発するので蒸発面近傍での原子間衝突が少なく、膨張冷却による加速がないためと考えられる。
田村 浩司; 足立 肇; 柴田 猛順
JAERI-Research 98-020, 13 Pages, 1998/03
表面電離を用いた小型原子ビーム検出器を試作し、さまざまな希土類元素(Ce,Nd,Sm,Dy,Yb)を用いて、その特性を調べた。いずれの元素においても原子ビーム量とイオン電流に比例領域があり、本検出器によるこれら希土類原子ビーム量測定が可能であることがわかった。Nd,Sm,Dy,Ybでは、蒸着速度100~200以上のビーム量まで評価可能であった。Ceについては蒸着速度が30を越えると、イオン電流に飽和傾向が見られた。これはCeの蒸気圧が低いため、Ce原子がフィラメントから十分速く離脱せず、Ce原子のフィラメントへの被覆によるものと考えられる。このことから、計測できる原子ビーム量は、原子のフィラメントへの被覆により制限されることがわかった。
田村 浩司; 足立 肇; 柴田 猛順
真空, 41(3), p.332 - 334, 1998/00
表面電離を用いた簡便な原子ビーム計測を目指して、小型ビーム量計測器を試作した。数種類の希土類元素について測定を行った。Ndを用いた測定により、充分高いフィラメント電流では、蒸気量に比例したイオン電流が得られ、これから原子ビーム量が評価できることがわかった。質量分析計との同時測定の結果、100Hz周期の蒸気量も測定できることがわかった。各元素のイオン化係数は、フィラメント温度の低下により急激に低下した。これはイオン電流の蒸気量依存性の飽和とも対応している。これは、フィラメント温度が下がると、原子が表面に吸着してから脱離するまでの時間が増加し、フィラメント表面が原子で覆われることが原因と考えられた。
田村 浩司; 柴田 猛順
JAERI-Tech 97-011, 14 Pages, 1997/03
表面電離を用いた原子ビーム検出器を試作し、Nd原子ビームを用いてその信号特性を調べた。フィラメント表面の温度を十分高くすることにより、40までの原子ビーム量に比例した表面電離イオン電流を得ることができた。質量分析計との同時測定により、1msec以下の速い応答速度があり、現在想定している原子ビームの変動を十分な時間分解能でモニターできることがわかった。
小倉 浩一; 柴田 猛順
Review of Scientific Instruments, 65(11), p.3455 - 3457, 1994/11
被引用回数:6 パーセンタイル:57.17(Instruments & Instrumentation)電子ビーム加熱によって生成される原子ビームの速度を知ることは原子ビームを利用するうえで重要である。原子ビームをレーザー共鳴イオン化して生成したプラズマのドリフト速度は原子ビーム速度と等しい。プラズマドリフト速度を2つのラングミュアプローブを用いて測定することによってガドリニウムの原子ビームの速度を求めた。得られた原子ビーム速度は電子天びんを用いて測定した原子ビーム速度とほぼ一致した。
大場 弘則; 西村 昭彦; 小倉 浩一; 柴田 猛順
Review of Scientific Instruments, 65(3), p.657 - 660, 1994/03
被引用回数:16 パーセンタイル:78.08(Instruments & Instrumentation)原子法レーザー同位体分離では電子ビーム加熱で生成した原子ビームにレーザー光を照射して目的同位体のみをイオン化して電極に回収する。原子ビームは蒸発部で発生したプラズマを含んでいるので、このプラズマが回収部に流れ込まないようにする必要がある。ここではガドリニウム原子ビームに含まれるプラズマの除去を、原子ビームに沿って設けた一対の平行平板電極に正あるいは負電圧を印加して行った。高密度蒸発時に除去電極に正電圧を印加するとプラズマは除去できなかった。一方、高い負電圧を印加すると高密度蒸発時でもプラズマは除去できた。プラズマを除去するのに必要な電位を、アース電位のプラズマが電子ビームとともに上方に流れる、プラズマから負電位の除去電極にイオンが引出される、というモデルをたてて推定したところ実験結果と良く一致した。
大場 弘則; 荒木 政則; 柴田 猛順
Japanese Journal of Applied Physics, 33(5A), p.L693 - L695, 1994/00
被引用回数:2 パーセンタイル:17.88(Physics, Applied)電子銃るつぼで発生させた原子ビームを原子法レーザー同位体分離の研究に用いているが、原子ビーム密度が100Hzで変動していることを経験している。このため銅の蒸発表面温度の時間変化測定を試み、原子ビーム密度の時間変化との関係を調べた。表面温度は高速度赤外温度計で、原子ビーム密度は四重極型質量分析計で測定した。その結果、蒸発面温度は周期的に変動しており、原子ビーム密度の変動周期と一致していた。さらに両者の変動の割合も一致していた。これは表面温度の時間変化が原子ビーム密度の時間変化を引起こしていることを示している。表面温度の時間変化は電子銃電源の50Hzの変動により、電子ビームスポット径、スポット位置がわずかに変化するために生じると考えられる。
西村 昭彦; 大場 弘則; 小倉 浩一; 柴田 猛順
Opt. Commun., 110, p.561 - 564, 1994/00
被引用回数:11 パーセンタイル:58.72(Optics)電子ビーム加熱により生成したガドリニウム原子ビームを用いて、レーザー光吸収法によりガドリニウムの振動子強度の絶対値を測定した。測定した遷移は6つである。既往の報告にも、これらの遷移について述べたものがあるが、それらの値はここで得られた値より1/2~1/3小さい。本方法は蒸気圧の低い元素の振動子強度の測定に効果的な方法である。
大場 弘則; 西村 昭彦; 柴田 猛順
Japanese Journal of Applied Physics, 32(12A), p.5759 - 5764, 1993/12
被引用回数:4 パーセンタイル:27.68(Physics, Applied)電子ビーム加熱で原子ビームを生成させると蒸発部でプラズマが発生する。これらプラズマは真空蒸着等には好都合であるが、原子法レーザー同位体分離では逆に取除く必要がある。いずれの場合でも蒸発部で生成したプラズマの特性を知ることが重要である。本研究では直進型電子銃でガドリニウムを蒸発させた時に生成するプラズマの特性をラングミュアプローブを用いて調べた。その結果、電子温度は蒸発面温度に比べはるかに低く、蒸発原子の原子励起温度に近かった。原子ビーム中のイオン量の割合は0.4%程度で、磁場偏向型電子銃でガドリニウムを発生させたときに比べて低い値であった。これは蒸発原子と電子ビームの衝突距離、電子銃の加速電圧が異なるためである。どちらの電子銃を使用しても原子ビーム中のイオン量の割合は、蒸発原子の電子ビーム衝突によるイオン化で説明できることがわかった。
西村 昭彦; 大場 弘則; 柴田 猛順
JAERI-M 93-102, 15 Pages, 1993/05
電子ビーム加熱により発生させたガドリニウム原子ビーム中から散乱した原子フラックスを水晶振動子膜厚計により測定した。蒸発るつぼ上部に設置したスリットにより原子蒸気の中心部を取りだして原子ビームとした。スリットの形状は平行平板型と円筒型のそれぞれの場合を試みた。スリット出口での原子密度は原子法レーザー同位体分離において必要とされる10個/cmオーダーまで増加させた。実験の結果、原子密度の増加に伴い原子ビーム中から散乱してくる原子が増加することがわかった。散乱した原子ビームの分布からイオン回収電極に付着する中性原子の量の評価を行った。ここでの評価法は原子法レーザー同位体分離装置を設計する上で有用である。
小倉 浩一; 柴田 猛順
JAERI-M 93-098, 23 Pages, 1993/03
電子ビームの加熱蒸発により生成したガドリニウム原子ビーム中の準安定準位占有率分布をレーザー共鳴イオン化を用いて測定できた。準安定準位占有率分布はボルツマン分布をしており原子励起温度を決めることができた。原子励起温度は蒸発面温度よりもはるかに低く、原子ビームの並進温度と非常に近かった。これは、蒸発面近傍で蒸発原子が真空中へ膨張冷却するとき原子の運動エネルギーと励起エネルギーのエネルギー交換速度が速いことを示していると考えられる。
小倉 浩一; 柴田 猛順
真空, 36(3), p.207 - 210, 1993/00
電子ビーム加熱によって生成される原子ビームの速度を知ることは原子ビームを利用する上で重要である。原子ビーム飛行時間法、原子ビームから作ったプラズマの流れをプローブで測定する方法および電子天びんを用いる方法の三つの方法でガドリニウム原子ビームの速度を測定し、斜入射ドップラー分光で求めた原子ビーム速度と比較した。斜入射ドップラー分光を含め4つの方法で測定した原子ビーム速度はほぼ一致することがわかった。また、原子ビーム速度の蒸着速度依存性では蒸発量が少ないときは蒸発面温度から推定される原子速度に近いが蒸発量が増加すると蒸発面近くでの蒸気の膨張により原子ビーム速度が速くなるこれまでの結果が確認された。
丸山 庸一郎; 鈴木 庸氏; 加藤 政明; 大図 章; 杉山 僚; 有澤 孝
Laser Advanced Materials Processing,Vol. 2, p.1251 - 1256, 1992/06
レーザー同位体分離法は、従来の化学分離法などの統計的手法と比べて著しく分離効率が高いという原理的特徴を有している。とりわけ微量同位体の分離にはその効果が大きい。本分離法によって分離するために必要となる基礎分光データ、多段階光電離プロセスなどについて述べた後に大量分離のための工学的諸問題についても述べる。例としてLi,Gd,Rb,Tiなどの分離実験の概説を行う。